L David Marquet speaking
L・デビッド・マルケ
L. David Marquet

元アメリカ海軍大佐、リーダーシップコンサルタント

「これほど見事なまでに乗員たちが権限を手にしている組織は見たことがない」
―― スティーブン・コヴィーは潜水艦「サンタフェ」を見学し、『第8の習慣』の中でマルケ艦長の「委ねるリーダーシップ」を絶賛。


1981年にアメリカ海軍兵学校を首席で卒業後、28年にわたり潜水艦任務に従事。

1999年から2001年にかけて、海軍内でも悪評が轟いていた攻撃型原子力潜水艦サンタフェの艦長に就任すると、優れたリーダーシップを発揮して、「戦力外」といわれた乗員たちを「ダントツ」のトップチームに見事に作り変え、軍内部にとどまらず大きな注目を集めるようになった。

2009年に海軍から引退した後は、リーダーシップのコンサルタントとして活躍。「権限を委譲して、各自をリーダーにする、委ねるリーダーシップ」を提唱し、全員が情熱や自発性、知性を発揮できる仕事環境を構築する方法をテーマに、幅広く講演活動を行っている。


「委ねるリーダーシップ」への道

最初のきっかけ

リーダーシップについてもっと深く知りたい――L・デビッド・マルケがそう思ったきっかけは10代のころ、ピッツバーグの祖父母の家で夏休みを過ごしていたときのこと。地元の図書館に通っていたある日、マルケは歴史家サミュエル・エリオット・モリソンが書いた『第二次世界大戦における米国海戦史』という本に出会う。来る日も来る日も図書館に通い、全15巻、全6500ページを読み通したとき、マルケの胸に、一つの夢が宿っていた。海軍に入り、いつか必ず乗員たちが活躍する船の艦長になるのだ、という夢が。

旅路のはじまり

1981年、マルケは米国海軍兵学校を首席で卒業。米国海軍兵学校といえば、「国に奉仕するリーダー」を養成する機関として名高い学校だ。卒業後は潜水艦部隊に入隊した。潜水艦の将校となったマルケは一つの問題に悩むようになる。伝統的な「リーダーが部下に命じる」というリーダーシップのあり方だ。海軍で、また世界中の企業社会において採用されている「リーダーが部下に命じるリーダーシップ」では、一人ひとりが考えることをやめてしまい、命令に従うばかりになっていく。この方法では人が強い疎外感を感じてしまい、うまくいかない――マルケはそう実感していた。もっとよい方法があるはずだ、と思っていた。

既存のルールではダメだ

やがて、自分の理論の正しさを証明するためには、既存のルールをやぶらなければならない、とマルケは思い至る。

原子力潜水艦ウィル・ロジャーズに機関科長として乗艦していたとき、マルケは「権限を委ねるリーダーシップ」をためしてみた。チームの部下におおまかなガイダンスを与え、命じるのではなく委ねてみたのだ。しかし、結果は散々。部下たちは決断をうまく下せず、ミスが連発した。結局、今までの「トップダウン式リーダーシップ」に戻さざるを得なかった。

艦長として指揮をとる

マルケはついに艦長となり、攻撃型原子力潜水艦オリンピアに配属されることが決まった。就任前には、1年にわたる艦長養成訓練を通して、潜水艦の指揮方法のすべてを学んでいた。

ところが、思いがけず、配属が変更になる。サンタフェの艦長が退任してしまったので、かわりに就任せよと指示されたのだ。サンタフェといえば、艦隊で最も成績の悪い潜水艦として悪名が轟いていた。また、技術的にもマルケがほとんど把握していない型の潜水艦だった。

潜水艦内は大荒れに

マルケがサンタフェの艦長に就任して1ヵ月足らずで、原子炉に問題が生じた場合のシンプルなシミュレーション訓練が行われた。メインのエンジンから動力の小さい電動推進式モーター(EPM)に推進装置を切り替えるというシナリオの訓練だ。マルケは「速度、通常の3分の2」という命令を出す。デッキの航海科長が部下に「通常の3分の2」と命令を伝えた。
しかし、何も起こらない。
マルケ艦長は、命令を遂行するはずの操舵手の落ち着かないようすに気づく。いったいどうしたのか、とマルケがたずねると、操舵手は「EPMに3分の2という設定はありません」と言う。サンタフェは、マルケがこれまで乗ってきた潜水艦とは異なる型の艦だった。つまり、デッキの航海科長は、艦長の命令が間違っていると知っていながら、そのまま命令を伝えていたのだ。トップダウン式の命じるリーダーシップでは、艦長の命令なら、たとえそれが間違った命令であっても、部下は行動に移してしまう。つまり、とんでもない事態も起こりうる――そうマルケは悟った。そして、もういちど委ねるリーダーシップをためそう、と決意した。

戦力外の艦員たちをトップチームに変える

マルケは、艦員たちを、部下ではなくリーダーとして扱い、権限を奪うのではなく委ねはじめた。すると、ほどなくして、艦内は劇的に変化し始めた。サンタフェは乗員残留率と戦闘力において、「最悪」から「トップ」の潜水艦へと変貌していった。
スティーブン・コヴィー博士はサンタフェの評判を聞きつけて、自ら乗艦して艦内のようすを観察し、「これほど見事なまでに乗員たちが権限を手にしている組織は見たことがない」と賞賛。そして『第8の習慣』で、マルケ艦長のリーダーシップを紹介した。
マルケが退任した後も、サンタフェはいくつもの賞を受賞し続け、10人の指揮官を輩出するなど、多くの乗員が昇級した。

いつだって人は変われる

2009年に海軍を引退、現在ではベストセラー『米海軍屈指の潜水艦艦長による「最強組織」の作り方』の著者として名を馳せているマルケ。『フォーチュン』誌はこの本を、「権限を委譲し、訓練し、完璧な作戦実行を実践したいと考えるマネジャーのための万能マニュアル」と高く評価している。
「委ねるリーダーシップ」を活用すれば、製造業からスタートアップ企業、スポーツチーム、政府まで、どんな組織でも変革をもたらすことができる。マルケは「委ねるリーダーシップ」について講義や講演を行い、働く人が自分の貢献度や価値を実感できる環境、すなわち、誰もがリーダーとして活躍できる環境づくりを手助けする活動を行っている。

「もしも、あなたの部下一人ひとりが実力を発揮して組織に貢献してくれたら、その組織は最強の力を発揮できる」
L・デビッド・マルケは、組織マネジメント、リーダーシップ、人材トレーニングの専門家として、さまざまな組織や団体のために講演活動を行っています。

■これまでの講演テーマ
・「委ねるリーダーシップ」の実践法
・部下の力を引き出す方法
・組織の力を最大化する方法
・優れたリーダーになるために
・戦略的組織マネジメント
ほか多数。

■クライアント(順不同)
・営利企業
ツイッター
ボーイング
ジェネラル・ダイナミクス
ロッキード・マーティ ン
ファーウェイ・テクノロジーズ
サブウェイ
・非営利企業
Inspirica(米国コネチカット州グリニッチ)
・経営者団体および商工会議所
YPO(青年経営者オーガニゼーション)
EO起業家機構
上海商工会議所
北京商工会議所
・政府組織
米国連邦政府
アメリカ合衆国国防長官府
米国海軍
米国空軍
・教育機関
コロムビア大学
コペンハーゲン・ビジネススクール
米国海軍大学院
ほか多数。